米料理特集
篠原シェフのテーマ食材 「白米」と「もち米」
篠原裕幸シェフ
1981年1月28日、埼玉県生まれ。
中国料理
海鮮名菜香宮(東京)料理長(2016年6月現在)
大阪・辻調理師専門学校卒業後、赤坂璃宮・本店に入社。譚シェフのもとで7年間修業を積み、その後ペニンシュラ東京「ヘイフンテラス」、「ロウホウトイ」で腕を磨き、単身香港へ。数多くの広東料理店で働き、技術を学ぶ。2011年帰国し、「香宮」オープン時に入社、2013年1月より料理長に就任。
和食にはない、中国料理らしいお米の使いこなし方を伝えたい。
《米料理》苦瓜と豚バラのお米スープ
苦瓜は中国料理では夏を代表する食材のひとつです。薬膳の考え方では、体の熱を取る働きがあると言われているので、香港で働いているとき、「暑い、暑い」と言っていると、これを作って飲んでみろ、と教わったのが「苦瓜とスペアリブのスープ」でした。材料を水から入れて煮込むだけのシンプルなスープですが、苦瓜が身体の熱を取り、豚肉の滋養強壮パワーが効いて、夏バテが解消されました。また、広東料理には、米をどろどろのスープ状にしたものでいただく、しゃぶしゃぶのような鍋物があります。肉や野菜をいろいろ入れて、最後に煮詰まってお粥状になったものが素晴らしくおいしいんですが、その鍋のイメージで苦瓜と豚肉を具にした、ご家庭ですぐに作れるレシピにしてみました。食欲があまりないときでもするすると食べられますし、栄養の点でも申し分ないので、これを食べれば元気が回復します。お米の銘柄は関係なく、残りごはんでおいしくできます。
《もち米料理》鶏団子のもち米焼売
中国料理ではもち米も、その粉のもち粉も、よく使います。もち米はおこわに使いますし、もち粉はゴマ団子や点心の生地などに幅広く使われています。この世界に入ったころは、焼売がもち米でおおわれているのを見て、どうやって作るんだろうと不思議でしたが、最初に作り方を教わったときには、おおー、そうやって作るのか!と感激した思い出があります。肉の団子を、もち米の上でコロコロと転がすだけ。皮で包む焼売よりも、簡単に作れると思いますので、このレシピを選びました。蒸し上がったもち米のモチっとした歯ごたえと、ちょっとスパイスを効かせた鶏団子、いくらでも食べられるほどおいしいと思うので、多めに作ってください。店ではランチタイムに海老の団子に枝豆を入れた、もち米焼売をお出ししています。コーンなどを入れてもおいしいし、冬ならレンコンなど刻んだ根菜をいれてもおいしいと思います。
大きな夢に向かって、いい仕事を積み重ねたい。
昨年「RED U-35 2015」でグランプリをいただきましたが、それで自分が変わったかと言えば、変わってないですね(笑)。それじゃダメだよ、とも言われますが、毎日、自分の仕事を丁寧にこなしているだけかな。日々努力を積み重ねながら、「日本人の中国料理人が、世界で働ける環境を自分が切り開きたい」という大きな目標に向かっていくだけです。
篠原シェフの「白米」と「もち米」レシピ
苦瓜と豚バラのお米スープ
特長
あまりなじみのないお米のスープとは、炊いた白飯を、水と一緒にミキサーにかけて、ポタ-ジュ状にしたもの。ほとんど粒が無いので、お粥とはまた違う食感で、のど越しもよく食べられます。篠原シェフのお勧めは、ご飯と水の割合が1:4。スープの中には角切りの豚肉と苦瓜がゴロゴロと入っていて、お腹にたまる満足感もあります。塩漬け豚肉の旨みと苦瓜の苦みが、スープにじわっと溶けこんでいて、最後のひと口までおいしくいただけます。
コツ・ポイント
豚バラ肉は塊のまま全体に塩を振って、ひと晩塩漬けに。このひと手間でスープのうまみが増します。苦瓜は緑の色が消えても良いので、じっくり柔らかくなるまで煮込んで、苦みをスープに移します。煮込みが足りないとおいしく仕上がりません。
鶏団子のもち米焼売
特長
豚肉よりも淡白な鶏肉を使っているのに、様々な調味料を加えているので風味豊かな味わいの焼売です。とくに鼻腔にふわっと抜けるカレー粉の風味が、さらに食欲をそそります。回りにまぶしたもち米も柔らかく蒸し上がり、モチモチの食感が後を引くおかずです。カレー粉ではなく、刻んだ香菜や五香粉、ゆずの皮やレモンの皮などを加えれば、バリエーションが楽しめるそうです。
コツ・ポイント
おいしく仕上げるコツは、もち米をひと晩水につけて、米の芯まで水分を含ませること。そうすれば短時間でふっくらと蒸し上がります。鶏肉は十分に粘りが出るまで練り、つなぎの役目もある玉ねぎには片栗粉をしっかりまぶしましょう。
明日の才能、未知なる美味を発掘する
2013年に幕を開けた、新時代の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティションRED U-35 (RYORININ’s EMERGING DREAM)。夢と野望を抱く、新しい世代の、新しい価値観の料理人(クリエイター)を見いだし、世の中に後押ししていくため、これまでの料理コンテストとはまったく異なる視点で、日本の食業界の総力を挙げて開催する料理人コンペティションです。
2016年大会へのコメント
日本は海外に比べて若い料理人に与えられるチャンスが少ない。そんな中で、RED U-35は若い料理人を輝かせる希望の光であると考えています。RED U-35に挑戦することは、自分の将来が開けるだけではなく、ほかの料理人へ希望を与えることにもつながり、料理界全体を盛り上げることでもあるのです。いずれは自分で店をもちたい、世界に冠たる料理人になりたいと考える志のある若き料理人を待っています。
村田吉弘
菊乃井 主人
RED U-35 プロジェクトメンバー
RED U-35 2015・2016 審査員
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審査員
村田吉弘
菊乃井
主人 -
審査員
門上武司
フードコラムニスト
雑誌「あまから手帖」編集顧問 -
審査員
脇屋友詞
Wakiya一笑美茶樓
オーナーシェフ -
審査員
田崎真也
ソムリエ
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審査員
山根大助
ポンテベッキオ
オーナーシェフ -
審査員
辻芳樹
学校法人辻料理学館
辻調理師専門学校
理事長・校長 -
審査員
狐野扶実子
料理プロデューサー・コンサルタント
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審査員
山本征治
龍吟
オーナーシェフ -
審査員
須賀洋介
SUGALABO Inc.
代表
RED U-35 総合プロデューサー
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総合プロデューサー
小山薫堂
放送作家
RED U-35 発起人
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発起人
岸朝子(故人)
食生活ジャーナリスト
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発起人
滝久雄
株式会社ぐるなび
代表取締役会長